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リレーストーリー小説【マリユメ 】 第七話 「夢泳ぐ」



リレーストーリー小説【マリユメ 】
第七話 「夢泳ぐ」
著者:ユメリア





〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・




言う事がきかない左腕でソーミャを支えながら、ユメリアは幼馴染を見上げて、力なく笑った。




「は……はは……来るの遅いよ……」




自分を助けてくれた幼馴染に安心したのか、ユメリアはついに意識を手放した。




「お、お姉ちゃん……!!」




それに気づいたソーミャは、悲鳴に近い声を上げ、ユメリアを揺さぶった。


この2人の様子を見て、幼馴染のヒューザは、仮面の男を睨んだ。




「何だかよくわからねぇが、ただ事じゃねぇようだな
……お前、何故こいつを狙った?」



ヒューザは腕を掴む強さを増した。

仮面から微かに覗く男の表情が、歪んだように見えた。



男は舌打ちをし、力を振り絞って、空いている手で、ヒューザを押し退けた。



「……離せ!!!」



「!?」



油断したヒューザはすぐに腕を離してしまい、若干よろめいた。



その隙に、男は逃走したが、ダメージがそこそこあったせいか、さほど動きが軽くなかった。


それを見たソーミャは血相を変えた。




「お、お兄ちゃん!!」


「何ともねぇよ。それより、誰かこいつらに手当を!」




ヒューザはいつの間にか出来ていた、人溜まりに、そう声を上げた。



そして、地面に落ちている、画面の男の物であろう短剣を拾い、踵を返した。




「あの変な奴は、俺がどうにかしてやる」




そう言って、ヒューザは男を追いかけた。



やはり男はさほど遠くへ行っていないようだった。



「……ちっ!」


「待て!!」



あともう少しで仮面の男が捕まる。


そう思ったとたん、男の足が崩れ、そのまま倒れた。




「な……っ!?」




突然の事に驚き、ヒューザは足を止めた。


倒れたとはいえ、これは罠で、何が起きるかわからない。


鞘を付けたまま、ヒューザは大剣を出し、うつ伏せになった男を大剣で仰向けにさせた。



男の目は閉じていて、ぐったりしていた。


口から何か出ている物を見て、ヒューザは察した。



「自分で毒を……」



このままだと捕まる、と思った男は、恐らく自害したのだろう。


そのままにする事は出来ず、ヒューザは舌打ちをして、町長の家まで行き、自分が知っている限りの事を話して、後始末をした。





ユメリアは動けない身体で暗い水の中にいた。


この懐かしい水の感覚は、ウェディの自分の故郷の海だと、すぐにわかった。


身動きが取れず、深くへ沈んでいくと、誰かの泣き声が聞こえた。



(……誰が泣いてるの……?)



すごく聞いた事がある、身近な人の泣き声だという事はわかった。だが、誰かは思い出せなかった。


最初は1人の泣き声だったが、だんだん他の人の泣き声も、海の中に響いた。



『ユメリアが死んじゃった……私が2人の邪魔をしちゃってから……』


『お前は悪くない……悪いのは……』



冷たい言葉が、ユメリアの頭にも響いた。



『ユメリアを斬り殺したヒューザだ』



それを聞いて、ユメリアははっとした。


そうだ、自分は確か、誰かに狙われて、そして、大事な子を守ろうとして、怪我を負ったのだ。


それでヒューザが助けてくれたのを、朧げながらも思い出した。



(……違うよ……ヒューザは私を助けようとして……だから……)



だから、ヒューザは悪くない。


そう言おうとして、ユメリアはもがくように水面に向かって泳ぎだした。


しかし、暗さのあまりに、いくら泳いでも水面に近づく事は出来なかった。


どんどん沈んでいく身体。ふと懐かしいような人の気配がして、ユメリアは振り向いた。



そこには、ウェディの自分ーーーこの身体の本当の持ち主がいた。


もう1人のユメリアは自分の手を取って微笑んだ。



『……ほら、起きなよ。あの子が泣いてるよ』


(あの子……?)



あの子っていったい誰だっけ?


そう思ったとき、聞き覚えのある声が聞こえた。



「……お姉ちゃん……死んじゃ嫌だよ……」



その声は、光の柱となって、ユメリアを包み込んだ。


あぁ、そうだ。最初に聞いた泣き声は、大事な子の声だ。


自分が守ろうとした、大事な子は、この子だ。自分と同じ孤児で、それでも1人で生きていこうと誓った、儚い小さな女の子。



自分はきっと、夢を見ているのだ。


沈んでいるのは、私の身体ではなく、私の魂。


そして、この声は、私を救う希望の光。



「……行かなきゃ」



ユメリアは光に向かって泳ぎ始めた。


そして、もう一人の自分に振り向いた。


「……気づかせてくれて、ありがとう」


『私の身体だからね、それ。かっこ悪い死に方されたら、承知しないよ』


「うん……それじゃあ、行くね」



ユメリアは踵を返して、光に向かった。
先ほどとは違い、道標があるため、すごく泳ぎやすかった。


水面から上がる瞬間、自分の額にあたたかいものが触れた。



「いつまで寝てるつもりだ。生きてるんだろ?さっさと起きろ」


「……うっさい……わかってるよ」


ヒューザの言葉に、ユメリアは重たい瞼を開けた。


目の前には、安堵した様子のヒューザの顔と、ぼろぼろと泣いているソーミャの顔があった。


つい先ほどのあたたかいものは、ヒューザの手だった。


ソーミャは目が覚めたユメリアに抱きついた。




「お……おねぇちゃぁん……!!」


「……怖い思いさせちゃって、ごめんね……」



ユメリアは、さきほどのソーミャの声を思い出し、彼女の背を優しく撫でた。


自分に、夢からの帰り方を教えてくれたのは、この少女なんだと思うと、自分が思っている以上に、この子は大切な存在なのだと思い知らされた。



そんな2人を見たヒューザは、やれやれといった様子で、ユメリアの頭に触れた。



「ユメリア、左腕の調子はどうだ?」



そう言われ、ユメリアははっとして、包帯が巻いてある左腕を恐る恐る振ってみた。



「……あれ、そういえば、痛くない……」


「そうか。回復呪文が効いたんだな」


「でも、誰が……?」


確か、ヒューザは回復系は使えないはずだし、ソーミャは一般市民だ。


では、誰が回復をしてくれたのだろうか…



すると、扉が音を鳴らして、誰かが入ってきた。



「大丈夫ですか?ユメリア」


入ってきたのは、自宅の近所に住む、エルフの少女だった。

彼女はにっこりと、ユメリアに笑みを浮かべた。




〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・


第八話に続く
| リレーストーリー小説 【マリユメ】 | 14:00 | comments(0) | - | - |

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